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「百聞は一見にしかず」を「ペアリングの原型を求める旅」で実感!

取材・写真/山本育子

レコール・デュ・ヴァンとレストラン「ジョンティ・アッシュ」によるコラボレーションイベント「ペアリングの原型を求める旅」に行ってきました!

レコール・デュ・ヴァンとレストラン「ジョンティ・アッシュ」によるコラボレーションイベント「ペアリングの原型を求める旅」の締めくくりでもある第10回目~フロマージュ編~に参加してきました。 ソムリエやワインエキスパートを受験した経験を持つ人なら誰しもが覚えたはずのフランスの郷土料理。そしてそれらの郷土料理にはその地方のワインが合うと習ったはず。でも実際はどうなのでしょうか?実際に食べたことも無ければ合わせたことも無い人も多いのでは?それでは実際に食べて飲んで実践しよう!ということで企画されたイベントです。
第一回目のブルゴーニュ編から始まり、今回が最終回で、企画の締めくくりに相応しい、酪農王国フランスのさまざまな地域で作られているチーズを使ったお料理とワインのペアリングを楽しめるフロマージュ編でした。レコール・デュ・ヴァンの山田好美先生、ジョンティ・アッシュの平野敬祐シェフ、太田賢一ソムリエによってセレクトされたワインと平野敬祐シェフの料理を楽しめる、なんとも贅沢なイベントでした。

最初の一皿は「ホワイトバルサミコでマリネしたイワシ アンチョビのムースとガスパチョ ペルル シトロネル風味」。合わせるワインはマグナムボトルのシャンパーニュ「アンドレ・クルエ/シルバー・ブリュット・ナチュール」。この日もとても暑い日だったので、ドライなブリュット・ナチュールの泡のおかげで心地良いスタートとなりました。この料理のソースにはタカナシ乳業さんとフランスのイズニーサントメール酪農協同組合が共同開発したフロマージュ・ブランが使用されています。

次のお料理はなんと、「うなぎパイN°14」です。こんなオシャレなうなぎパイは初めて。パイの中にBanonというシェーブルチーズが隠れていて、チーズの塩味とシェーブル独特の風味が良いアクセントになっています。ソースはうなぎの骨とサワガニで作られたブイヤベースソース。ブイヤベースといえば南仏の郷土料理ということで、プロヴァンス地方のバンドールを合わせていただきました。

メインのお魚料理は「太刀魚のロエル カラスミのヴェイノワーズと共にグラチネ グリーンオリーブのソースを合わせて」。このお料理にはジョンティ・アッシュ自家製のコニャックで熟成したカラスミが使われています。カラスミは合わせるワインによっては生臭く感じてしまうことがありますが、今回合わせたパレットの「シャトー・シモーヌ白」はカラスミの旨味を消すこともなく、引き立ててくれました。

お肉料理は「松ぼっくりで焼き上げた夏鹿 塩釜で焼き上げたビーツのロティを合わせて 赤紫蘇とジュニパーベリーの赤ワインソース」。まずはチーズなしでお料理を楽しんで、少ししたらスプーンに乗ったエポワスが運ばれてきました。このエポワスはジンで洗っているため、ほんのりジンの香りがします。この香りとジュニパーベリーのソースの相性がとても良かったです。エポワスはブルゴーニュ地方の北寄りに位置する村の名前です。このお料理には産地の近いジュヴレ・シャンベルタンのピノ・ノワールを合わせていただきました。ピノ・ノワールに鹿?ローヌのワインの方が合うのでは?と思いましたが、最近のブルゴーニュのワインは温暖化の影響もあってしっかりした作りが多く、今回のワインも例外ではありません。また、夏の鹿は冬の鹿に比べて脂肪が少なく、軽い味わいなので、ピノ・ノワールにもピッタリ合いました。

今回のテーマはフロマージュということで、デザートの前にプラトーまで!お料理にチーズが使われるというのもとても美味しかったですが、チーズそのものを味わうというのもフランス料理ならでは。今回はハードタイプのコンテ、青かびチーズの代表のロックフォール、エポワス、シェーブルをいただきました。合わせたいただいたロワール地方の甘口ワイン、コトー・デュ・レイヨンはロックフォールにもシェーブルともとても相性が良かったです。

デザートは「クラウンメロンのスープ アーモンドのブランマンジェと共に ジャスミンフラワーのグラスを添えて」。フレッシュタイプのブリア・サヴァランをブランマンジュに仕立てたものを液体窒素で凍らせて、雪のように振り掛けられています。平野シェフがこのブリア・サヴァランを”真夏の雪”と例えておりました。なんて素敵な表現でしょう!そしてデザートにはやはり甘口のワイン。これまで全てフランスのワインを合わせてきましたが、最後は南フランスのヴァン・ド・コンスタンスです。奥行き、深みがあってとても複雑なワインですが、2019年のワインということでフレッシュさもまだあるため、クラウンメロンのスープとも相性ばっちりでした。

今回の企画に参加して私が一番強く思ったのは、平野シェフの料理が素晴らしかった!メニュー名や食材からは想像できないような素晴らしい料理を堪能できました。そして山田先生と太田ソムリエの選んだワインはどれも言うまでもなく素晴らしく料理にマッチしていましたが、ただワインとチーズを紹介してくれるだけでなく、それぞれにまつわる歴史的なエピソードなども教えてくださり、この企画は一石二鳥にとどまらず、一石三鳥か一石四鳥の価値のある会でした。今回私は一人で参加させていただきましたが、同じように一人で参加している方や友人と一緒にという方もいらっしゃいました。みなさんも私と同様にワインも好きだし、美味しいお料理も食べたい!という考えの方々でしたので、初めましての方とも楽しく、和気あいあいとした雰囲気の中で食事とワインを楽しめました。
「ペアリングの原型を求める旅」は今回で終了となりましたが、秋には新しい企画が計画されているそうです。秋からの企画では、フランスだけではなく、ヨーロッパ、さらにヨーロッパ以外の国の料理とワインをテーマにしたイベントの開催が予定されているそうです。興味のある方はジョンティ・アッシュのホームページ、SNS、レコール・デュ・ヴァンのホームページなどをチェックしてみてください!

ジョンティ・アッシュ

ジョンティ・アッシュのInstagram

レコール・デュ・ヴァン

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山本育子

フォトグラファー兼ライター。人物から料理などを日々撮影するカメラマンでありながら、ワイン好きが高じて次々にワイン関連の資格を取得。そして何より三度の飯よりシャンパーニュが好き。ワインエキスパート。WSET Level3。SAKE DIPLOMA。

  1. 「百聞は一見にしかず」を「ペアリングの原型を求める旅」で実感!

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