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ザ・リッツ・カールトン東京『アジュール フォーティーファイブ』が美食の楽園に

三つ星シェフ小林圭が誘う新たな食の旅を堪能できる至福のレストラン

小林 圭(こばやし けい)長野県諏訪市出身。日本料理の料理人を父に持つ。地元・長野の「東急ハーヴェストクラブ蓼科」でフランス料理の基礎を学び、21歳で渡仏。南仏の名店「オーベルジュ・デュ・ヴュー・ピュイ」で料理人ジル・グジョン氏の下で修業。2003年にパリのアラン・デュカスの手がける三つ星レストラン「プラザ・アテネ」でセカンドを務め、2011年世界的な料理人ジェラール・ベッソン氏から店を譲り受け、パリの一等地に自身の名前を冠した「Restaurant KEI(レストラン・ケイ)」を開く。2020年フランス国内でアジア人シェフとして初めて三つ星獲得し高い評価を獲得。

自身がオーナーシェフを務める「レストラン ケイ」が、フランスでアジア人シェフでは史上初めてという三つ星を2020年に獲得した小林圭。受賞直後、世の中はコロナ禍に。そんな状況下でもパリのお店はその期間に大リニューアルをはかり、御殿場には虎屋とのコラボで「Maison KEI」がオープンするなど話題は事欠かなかった。そしてまた、新たなニュースが。少し前となるが、8月6日よりザ・リッツ・カールトン東京のレストラン『アジュール フォーティーファイブ』が小林圭氏を料理監修シェフに迎え、新たなコンセプトで再スタートを切っている。六本木のミッドタウン東京の45階に佇む『アジュール フォーティーファイブ』は、窓から広がる東京の風景も堪能できるスカイレストラン。新しいコンセプトとはいえ、元来料理の神髄を追求し、伝統と革新を融合させた料理を提供することは、オープン当初からの変わらぬレストランとしてのアティチュードで知られている。フレンチダイニングの最高峰の場所の1つとして、新しい輝きを放つこととなった。

小林シェフのメディア等でのインタビューを読み直すといくつかのキーワードがある。
「出会いから料理は出来ている」
「ジャーナリストや料理人の評価より、何よりお客さんにとって世界一のレストラン」
「重要なのは、お客さんにどんな時間を過ごしてもらうかということ」
「誕生当時に革新と呼ばれたものが、いまはクラシックとして愛される。そういう料理が一品でもできたら、幸せな料理人」
また、幸運にも今回はお招きいただき、小林圭料理監修の世界観を堪能する一時をいただいた。そのときのメニュー表にはこう記されていた。
「偉大な料理界の巨匠とフランス料理の歴史にインスパイアされ、
小林圭は伝統と現代性、食感と風味の完璧なバランスを追求し続けます。
小林圭は伝統的なフランス料理を現代的に解釈し、
その世界観を皆様にお伝えできることを嬉しく思います」

そしてスタートしたディナーでこの言葉たちを体感・堪能していくこととなった。
小林シェフの手から生み出される料理は、パリの名門レストランで培った経験をもとに伝統的かつ正統派のフランス料理を現代の視点でアレンジし、次世代へと受け継いだものである。そしてそのメニュー構成は、伝統の技と現代の革新が見事に融合した、食の旅への招待状ともいえる逸品ばかりだ。一例として、今回登場したコンソメスープを紹介しよう。フランス料理におけるスープの役割は、長いコース料理を受け入れられるよう食事の始めに体を整えるためのものとしてサーブされていたが、現代ではあまり出されなくなっている。このように前菜として出されることが多かったスープが、ポートワインの香りと濃厚なチキンの旨味が際立ち十分な存在感を持った一皿の料理として、現代のスタイルに合わせてアレンジされ新たな役割を果たしていた。同様に、象徴的なパテ・アン・クルートや鳩の料理も、小林シェフの料理監修によって軽やかに洗練された姿に生まれ変わっていた。小林シェフの料理には、ユニークさと気取らなさがある。一方で、その料理が持つ芸術性とエレガンスは、食材の香りから食器まで全てにおいてそれらの世界観を目と味で感じることができ、まさに五感を刺激する芸術的なものとなっている。

滋味深いという表現を超えた優しさのコンソメスープ
伝統的なパテ・アン・クルート
オマール海老とキャビアの一品

伝統的かつ正統派フランス料理を現代風にアレンジしながら次世代へ継承させるべく、真摯に新しい料理の世界観を表現し、食の可能性を広げているのだ。
小林シェフの料理と同様に重要なのが、料理と調和するワインだ。 特に、彼はブルゴーニュの葡萄畑をこよなく愛しており、ブルゴーニュのワインが際立っている。世界各国から取り揃える予定とのこと。ただワインリストは、高名なドメーヌやアペラシオンだけでなく、非定型的なスタイルを持つドメーヌも厳選され、スタイルとテロワールの調和がより際立つよう、フランス産のワインを優先することで料理との絶妙なマリアージュを楽しめる。また、「アジュール フォーティーファイブ」のソムリエたちが小林シェフの意図を的確に理解しており、なぜそのワインを合わせたのかについて興味深い背景も説明してくれるなど、我々への接客も大いに好感が持てるものだった。
特に印象に残ったのは、各年代のビンテージを揃え、料理の時間軸に合わせて過去、現在、未来のイメージを持たせ、ペアリングを楽しめるように心掛けているという話だ。

デザートのチョコレートタルトは、一般的に想像できる「チョコレートタルト」とは全く異なる斬新な一皿だった。
チョコレート味のタルト生地の中にカシスの赤ワインマリネとミルクチョコクリームが入っており、その上に飾ってある薄く削られたミルクチョコレートとラズベリーチョコレートを崩しながら、ヴァローナ社製のチョコレートソースで食べるデザートだ。このチョコレートソースは、フランス ローヌ地方で一人の菓子職人が創業した昔ながらの製法と職人的な技術を生かしていることで有名なヴァローナ社製の、赤いベリー系の華やかな酸味が特徴的なブラックチョコレートと水だけで作られている。ラズベリーとカシスの酸味とも相性が良く、これらの全体的に感じられる酸味がチョコレート系のデザートながらさっぱりと爽やかな後味を実現していた。

小林シェフはこうも語ってくれた。
「このコラボレーションはまだ始まりにすぎません。枠組み、食器類、レシピなど、これからさらに美しい展開が見られることでしょう」。
そう、小林圭料理監修「アジュール フォーティーファイブ」劇場、「お楽しみはこれからだ」なのだ。

小林圭料理監修・アジュール フォーティ ファイブ(ザ・リッツ・カールトン東京45階)
ランチ 14,800円、19,800円、29,800円 / ディナー 19,800円、29,800円
営業時間:ランチ 12:00~16:00(13:30最終入店) / ディナー 18:00~22:30(20:00最終入店)
定休日:毎週月曜、火曜 予約:03-6434-8711(レストラン予約)

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山田_yamada 靖_yasushi

Why not?マガジン編集長。長くオールドメディアで編集を担当して得たものをデジタルメディアで形造りたい。座右の銘は「立って半畳、寝て一畳」。猫馬鹿。年一でインドネシア・バリのバカンスはもはやルーティン。

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