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WINE

ブルゴーニュ・ワイン生産者、砂町銀座商店街に行く!~ぶらり総菜屋めぐり~

取材・文/山本ジョー 写真/山本育子 撮影協力/砂町銀座商店会振興組合

ブルゴーニュ・ワイン生産者が砂町銀座商店街で総菜ペアリングに挑む!

「高級で繊細」「ワイン通が好む」と、まいどハイソなイメージ強めなブルゴーニュのワイン。しかし、ブルゴーニュの人々からすれば、ブルゴーニュ・ワインはあくまで身近な地元の飲み物で、郷土料理と気負いなく合わせるのが日常なのです。ああ、ブルゴーニュ人のように構えることなくブルゴーニュ・ワインを飲んでみたいけど、日本では難しい話かな……とため息ついちゃうジャポネーゼな皆さまに朗報!

「ブルゴーニュのワインは日本のカジュアルな料理とも合うはず。O-SO-ZAI、そう、日本人が普段食べているお惣菜とブルゴーニュ・ワインがいかにマッチするか、検証してみる価値は大いにありますよ」

と、ブルゴーニュより若手ワイン生産者3名が馳せ参じてくれました。東京・江東区の砂町銀座商店街へ赴き、ディープな日本文化を垣間見ながらお惣菜を爆買い。ブルゴーニュで生まれ育ち、ブルゴーニュ・ワインとのペアリングを理解しつくしている彼らが選んだ、定番のお惣菜とは?

これぞリアルな日本の日常!」体験、三人のブルゴーニュワイン生産者たち


右:マリアンヌ・ヴィランさん(ドメーヌ・ド・ショード・エキュエル/シャブリ)
代々ブドウ栽培を生業としてきたヴィラン家の長女として生まれ、醸造担当の妹、栽培担当の弟と一緒に家業を支える34歳。営業担当として、販路拡大が目下の課題だ。旅行が大好きな美食家であり、バックパッカーとしてタイを周ったときは、ストリートフードを食べまくったとか。

中:タンギ・ボーモンさん(ドメーヌ・デ・ボーモン/モレ・サン・ドニ)
自然環境への配慮を怠らない老舗ドメーヌの8代目として、主に販売を担当。世界各国の顧客と丁寧な連携を結び、価格の安定化に尽力している。「日本は『千と千尋の神隠し』『NARUTO』などのアニメ映画やゲームに観た世界そのもので、エキゾチック!」と興奮する22歳。

左:シモン・シャペルさん(ドメーヌ・シャペル・エ・フィス/サントネイ)
演奏・作曲を手掛けるミュージシャンとして、映像音楽で生計を立てていた経歴の持ち主。現在37歳、2017年から実家のドメーヌ経営を担う。「オーケストラは指揮者が音楽を変化させる。ワインも様々なパートで成り立っているものを、私が変化させて表現させていく。音楽とワインはとても似ています」。

いつもの日本の食卓にもっとブルゴーニュ・ワインを

シモン「来日前に私がイメージしていた日本は、高層ビルやタワーが乱立してる風景でした」
マリアンヌ「でも、私たちはビルディング群の見学ではなく、日本の方々がリアルに生活している感覚を知りたいんですよね」
タンギ「ブルゴーニュに足を運んでくれる日本人はいつも、僕たちのワインだけでなく文化や伝統を深く理解しようと努めてくれます。だから今回は僕たちの番。じつは僕、フランスでは和食に触れたことがなくて、寿司やラーメンすら昨日初めて食べたくらい。日本文化について、まだなにも知らないんです」
マリアンヌ「フランスの寿司は魚の種類が少ないし、肉質も硬めで日本の寿司とは違う。ラーメンは、まろやかなスープのタイプだと私のシャブリとバランスがとれると思いました。ラーメンとシャブリのペアリング、日本で広まらないかなぁ」
シモン「あっ、もう自分ちのワインをアピールしてる(笑)。それを言うなら私のドメーヌが手掛けている赤ワイン、サントネイは熟成した神戸牛に合いそうなんだよなぁ。食べたことないけど」
マリアンヌ「日本人だって、そんな高級食材をしょっちゅう食べてはいないと思いますけど」
タンギ「ブルゴーニュのワインは繊細なタイプが多いから、日本でも個性の強くない食事とならすんなり合わせやすいはずですよ」
シモン「ということで、日本人が普段食べているものを調査するべく、私たちは惣菜の店が集まる商店街へとやってきました! 町並みは昔の面影を残しつつ、モダンで便利にもなっている印象。伝統と革新が融合するさまは、まさにブルゴーニュと同じですね」

進化し続けるブルゴーニュ・ワインには発見の楽しみアリ


タンギ「ブルゴーニュは伝統的な面が強調されがちだけれど、ワイン造りの現場はめまぐるしく変わっている状況です。ブルゴーニュ・ワインの人気が高まって供給が追い付かない悩みを抱えつつ、昔とは気候が異なるから畑での苦労は尽きない」
シモン「地球温暖化の影響で気温の変化が極端になってしまい、父親の代と同じ栽培方法では成り立たなくなりました。以前なら収穫のタイミングに幅を持たせても大丈夫だったけれど、今はピンポイントで『この日に収穫!』と見定めなければならない。醸造時だって、『この日に抽出!』と限定される」
マリアンヌ「ブルゴーニュ北部の涼しいシャブリ地方でも温暖化が進み、醸造時の冷却装置導入などやるべきことが増えています。でも、ワイン業界に女性や若手の進出が増え、今はわりと自由に変革できる空気なのも確かです」
タンギ「……とまあブルゴーニュ生産者は誰もが日々困難に直面しているわけですが、でも僕たちは親からドメーヌを継ぐ決心をし、前へ前へと進んでいる。日本の皆さんには、もっと僕たちのワインを飲んで、魅力を知ってほしい気持ちでいっぱいです。実際、実力があるのに知名度が低くて値段も高騰していない掘り出し物が、ブルゴーニュではまだまだ発見できます」
マリアンヌ「ワインは、ほかの芸術と同じように、人間が生きていくために絶対必要なものではないんですよね。生命を維持する必需品ではないけれど、でも、人間が人間らしく生きていくためには必要なもの」
シモン「つまり、ありのままの人間らしく生きるには、いつもの食卓に私たちのワインを、ってことですよ。さあ、今日は日本の皆さんへ向けて、ブルゴーニュ人による総菜ペアリングを発見していきましょう!」

商店街訪問の前に明治神宮へ立ち寄り、奉納されているブルゴーニュ樽の前へ。「この平和な雰囲気のなかで故郷のワイン樽を眺められるなんて感激です」(マリアンヌ)、「大切な場に樽を置いてくれているのは嬉しいけど、この中身のワインはどこに行ったの?誰が飲んだの?そこが気になる(笑)」(シモン)

いざ、砂町銀座商店街へ

東京都江東区の砂町銀座商店街は、670m延びるメインストリートに総菜から衣類まで多種商品を扱う約180の店が並ぶ。懐かしい昭和の面影を残す町並み、庶民に優しいお手頃価格のおかげで、連日大賑わいだ。

「やきとり 肉の中島」

食材豊富な土地柄のブルゴーニュゆえ、ブルゴーニュ人は皆くいしん坊。「やきとり 肉の中島」で串焼きを購入し、その場で立ち食い。「モモ肉のやきとりタレ味は、軽く焦げた甘じょっぱいソースがピノ・ノワールと合う。少し脂分もあるから、フレッシュ感を残したワインで爽快な後味にするといいですね」(シモン)

「佐野みそ 砂町銀座店」

「佐野みそ 砂町銀座店」では「おみそ汁三種飲み比べ」に挑戦、気になるみそをカップに入れ、自分でお湯を注ぎ試飲するスタイル。みそがワインと同じ発酵モノだと知り、3人は興味津々。「熟成によって色が変化するんですね。味も大好き」(シモン)、「みそをたっぷり入れたから塩気が強くなっちゃったけど、おいしい」(タンギ)
なんと、店のスタッフからは「おいしいワイン造ってる方々なんですか。これからも頑張ってくださいね!」とエールをもらった。

増英かまぼこ店

未知の総菜と出合ったら!?、日本語メニューも読めないので、買い物はインスピレーション頼み。まさにここ「増英かまぼこ店」はそんなワンダーランド。練り物や野菜のほか、何気なく選んだ「しらたき」がまさかベスト・ペアリングのひとつに輝くなんて、このときは誰も予想していなかった—。

日本でも着る人の少なくなった着物を
「京呉服・宝石の店 田巻屋砂町銀座店」
でチラ見。
「(お惣菜じゃないから今日は買えないけど、デニム着物、カッコイイなぁ)」(シモン)
と、名残惜しそう……。

うなぎ屋「ウナクリ5(ファイブ)」

西から東へと移動した砂町銀座商店街。東端に近いうなぎ屋「ウナクリ5(ファイブ)」でうなぎの串と肝串を人数分買い求め、総菜ショッピングは無事に終了。

さて、次のページで実食!ザ・ニッポンのお惣菜とブルゴーニュワイン、ベストペアリングは?

  • 記事を書いたライター
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山本ジョー

ライター。2000年よりワインや食にまつわるテキスト制作を請け負ってきたが、ときおりタレント本や鉄道本にも携わる。 畑で細々と野菜を作り、猟師から獲物を分けてもらうカントリーライフを堪能中。 好きなものは旅、犬、カジュアル着物。 小型船舶免許1級を取得して以来、船の操縦経験ゼロ歴を更新し続ける「なんちゃって船長」でもある。

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