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WINE

酒中古酒日記 02「Corton 1921 」

ワインにとって「古酒」というジャンルはとりわけ魅力に満ちた世界。また、ワインを飲み尽くした愛飲家だけではなく、ワインショップでは若い年代のワインラバーも興味を持つ人たちが増えてきていると聞きます。古酒関連の書籍の著書もある「秋津壽男」さんのが抜栓したワインは「100年以上前のブルゴーニュワイン……」

「百年ワインを飲む」

Corton 1921

100年以上前のブルゴーニュワインである。20年ほど前にロンドンで入手し、それ以来自宅のセラーに寝かしていた。2021年に「100年ワインを飲む会」を開く予定にしていたら、残念なことにコロナ騒動でお蔵入りになってしまった。タイミングを逸してしまい、個人で銀座のすし屋に持ち込んで楽しむことにした。このお店はワインに理解があり、ヴェテランソムリエがどんな古酒でも上手に抜栓してくれる、来店時に次回用のワインを預ければ澱を落ち着かせてくれる、という素敵なお店である(常連以外持ち込み不可です)。

ワインはドメーヌ詰めではなく、ネゴシアンものだが、まったく情報がない。貼られているエチケットは本来のものではない。保管中に剥がれて無くなってしまい、オークションハウスがタイプ打ちした紙のようである。液面は6cm、この年代にしては高い方だ。キャップシールは白銅でところどころ穴が空いている。幸いコルクはキノコに膨らんでいない。心得たソムリエ氏が、前日からパニエに移して落ち着かせていてくれたようだ。ハイブリッドではなく通常のソムリエナイフで見事に抜栓できた。3cmほどしかない貧弱なコルクだが、リコルクせずに100年耐えてくれたと思うとコルクのかけらもいとおしくなる。

グラスに注いでもらうと、色素が落ちず、濃厚なあかね色。香りは冷たく閉じて、わずかに金属っぽい。優しくスワリングすると少しづつ柔らかい果実が開き始めていく。一口めから意外とフルーツを感じる。100年の経過は感じない、印象は60年くらいの熟成感かな。2杯めでは更に果実の濃縮感を強く感じ、干しプラム、ディーツ、ドライチェリーなど ドライフルーツが前面に出てきた。カツオの刺身、赤身マグロの握りを引き立ててくれた。3口めから味が痩せ始めたが、香りは逆に濃厚に変化!グラスの底の澱までいくとさらに香りが強くなった。
ちなみに赤ワインの澱を、すき焼きの割下に入れると美味しいですよ。

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秋津壽男

大阪大学工学部醗酵工学科を卒業後、医学部に再入学し医師になった変わり種Dr。医師としてテレビ東京「主治医の見つかる診療所」に18年間レギュラー出演中。 醗酵工学出身の知識と人脈を活かし、日本唯一の「ワイン古酒専門家」として古酒関連の書籍を出版している。

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