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2022年カリフォルニアに新しいAVAが誕生

そもそもAVAを理解しよう

去る2023年3月、9名のカリフォルニアワイン生産者が来日。彼らの目的は東京會舘で開催された試飲会やメディア関係者向けランチ試飲会など自分たちのワインプロモーションを行うため。その生産地は2022年にカリフォルニアのソノマ・カウンティで19番目のAVA(原産地呼称)として認定された「ウエスト・ソノマ・コースト」である。
ワインにあまり詳しくない方はこの100文字にもみたない説明すら、すでに興味をなくす内容であろう。ここでAVAという3つの頭文字からなる言葉から説明しよう。
1978年に法制化され、1983年に施行された『AVA(American Viticultural Arias)=米国政府認定ブドウ栽培地域』は原産地の保護及び保証するものだ。まだまだ理解できませんね。要は一定の地理的・気候的にブドウ栽培条件を持つと見なされる「境界線」を規定するものなんです。アメリカのAVAはフランスやイタリアのワイン法のように品種、栽培・醸造方法などの規定が結びついているものではなく、栽培品種や栽培・醸造方法に関する規定とは別のもの。現在、アメリカ合衆国のワイン法には格付けはありませんし、このAVAの規定はAVA間の優劣をつけるものでもありません。同じAVAの中でもいろいろなブドウ品種、スタイル、品質のワインが生まれていますし、近年では一つのAVAにくくられていた産地がより特殊な地理的・気候的特徴をもった地域も明らかになり、既存のAVAの中に新しく小規模のAVAが認定されています。また、国土が広大で歴史的にも新しいアメリカ合衆国は州やカウンティ(行政区)の境界線は歴史や地理的要素で定められたものばかりではなく、緯度経度等でひかれた場合もあり、同一の地理的特徴を持つAVAが複数の州やカウンティにまたがる場合も多いのです。産地名・ブドウ品種・収穫年・ワインタイプの表示など細かく規定はされているものの、格付けではなくワインの出自はわかるゆえの原産地呼称ということになります。ちなみに、ワインというお酒からアメリカ合衆国全体を超簡単に俯瞰するとワイン消費量は全世界1位、生産量は4位というワイン大国の一つ。その国内生産量のなかでカリフォルニア州は全体のなんと約80%を占める主要生産地。ちなみにその他の代表的な産地は「オレゴン州」「ワシントン州(ワシントンDC 東海岸ではない)」「ニューヨーク州」などです。

カリフォルニア州AVAマップ

今回紹介する「ウエスト・ソノマ・コースト」はソノマ・カウンティAVAに含まれていた。「ウエスト・ソノマ・コースト・ヴィントナーズ」は当時カリフォルニアワインの愛飲家たちには注目されてはいたけれど、ソノマ・コーストAVAは広大すぎてロワールを考えたとき、今ひとつマーケットに明確伝えきれないジレンマがあったという。そこで、トゥルー・ソノマ・コーストの生産者が2011年に新しいAVAとして請願し、11年後の2022年にようやく19番目のAVAとして認められるにいたったのだ。11年もかかったのは、地理的な複雑な問題や政治学、ひいてはコロナなど複合要素が重なったこともあったようだ。次はその環境についてみてみよう。

コースタル・レッドウッド

年間を通して非常に冷たい太平洋の水温によって、冷涼な海洋性気候が生み出されている。通常、カリフォルニアの沿岸の気候は地中海性気候(冬に一定の雨が降り、夏は日差しが強く乾燥する)と言われ、気候区分としては地中海性気候に入る。ここでいう海洋性気候というのは気候区分(区分ならば西岸海洋性気候、温帯夏雨気候が該当)ではなく、海・海岸・沿岸に見られる気候で気温や湿度など海からの影響を強く受けているということを指す。この海洋性気候により日中の最高気温は内陸部より低くなり、夜間の最低気温は逆に高くなるため、ブドウ畑の気温は穏やかになり、この適度な日較差により、果実は昼夜を通してゆっくりと熟していく。快活な酸味、適度なアルコール、ピュアな風味の質の良さは、ウエスト・ソノマ・コーストのワインに共通して見られる特徴といわれ、海水温は年中11度前後、海からの霧と午後の風、通夜を問わず冷涼、降雨は冬に集中して成育期にはほぼ無い。この「冷涼」というのが大きなポイント。それを証明するのがレッドウッド・コースト。ウエスト・ソノマ・コーストは、コースタル・レッドウッドが現存する世界でも数少ない場所の一つ。海岸沿いにレッドウッドが生き残るためには、年間を通じて穏やかな気候、冬期に木々に必要な水分を供給する大雨、夏の乾燥した時期に森に潤いをもたらす濃霧という特殊な条件が必要であり、なによりの証左。そして、周囲のレッドウッドによって湿度が保て、風をブロックするなど、フレーバーへの影響もあるのではないかと言われているそうです。

「ウエスト・ソノマ・コースト」AVAの全体像と生産者

カリフォルニア州南部から西部にかけて約1,300kmにわたって続く、巨大な断層であるサンアンドレアス断層。そのサンアンドレアス断層沿いの切り立った山の尾根の上にブドウが植えられ、断層はブドウ畑と太平洋の間を海岸線と平行に走っています。堆積岩、風化した海洋性砂岩、火山活動による火成岩類などさまざまな土壌が存在し、土壌には自然な栄養分が少なく、透過性はあるものの、水はけもよいという高品質なワインを育てる理想的な条件を生み出している。

百聞は一飲に如かず。後は飲むべし
ウエスト・ソノマ・コーストAVAの概要を少しは理解していただけただろうか? 今回の新しく誕生した「ウエスト・ソノマ・コースト」は認証まで11年その誕生まで決して平坦なみちのりではなく、当事者たちの相当な努力と忍耐もあったであろうことは想像に難くない。また、ワイナリーを切り拓いた土地については割愛したが、簡単なことではなかったようだ。控えめなアルコールとフレッシュで綺麗な酸を備えるウエスト・ソノマ・コーストのワインは、日本人が好きなタイプのワインだと思う。今後、どのようなワインが生まれ、AVAもどのように発展していくか、そう、そんなドラマをこのウエスト・ソノマ・コーストAVAのワインを飲みながら、感じてみてはいかがだろうか?
レストランでは「カリフォルニアのシャルドネ」といわずに「AVA指定」でオーダーしてみてはいかが?ただし、突っ込まれてもいいように、その前にそのAVAをスマホで勉強してね。

試飲は贅沢にも「資生堂ハーラー サ・ハラジュク」での着席で体験することができた。

画像、左から

当日試飲したワイン

「アルマ・フリア シャルドネ キャンベル・ランチ 2021」

「アーネスト・ヴィンヤーズ シャルドネ 2021」

「ウェイフェアラー・ヴィンヤード シャルドネ 2020」

「ペイ・ヴィンヤーズ ピノ・ノワール ポマリアム・エステート 2014」

「リトライ ピノ・ノワール ザ・ピヴォット・ヴィンヤード 2015」

「ハーシュ・ヴィンヤーズ ピノ・ノワール ウエスト・リッジ・エステート 2018」

「コブ・ワインズ ピノ・ノワール ドックス・ランチ・ヴィンヤード 2019」

「フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリー ピノ・ノワール ユーキ・エステート 2019」

「センシーズ・ワインズ ピノ・ノワール ボデガ・ティエリオ・ヴィンヤーズ 2021」

来日した生産者の皆さん(左から)

ジョセフ・ライアン(アーネスト・ヴィンヤーズ)、トッド・コーン(ウェイフェアラー)、キャロル・ケンプ(アルマ・フリア)、クリストファー・ストリーター(センシーズ)、アキコ・フリーマン(フリーマン・ヴィンヤード&ワイナリー)、ロス・コブ(コブ・ワインズ)、ジャスミン・ハーシュ(ハーシュ・ヴィンヤーズ)、アンディ・ペイ(ペイ・ヴィンヤーズ)、テッド・レモン(リトライ)

カリフォルニアワイン・スプリングプロモーション2023を開催

カリフォルニアワイン協会(California Wine Institute、略称 CWI)は、2023 年5月31日まで全国で「カリフォルニアワイン・スプリングプロモーション 2023」を展開している。これは全国の参加飲食店でカリフォルニアワインがバイザグラスで楽しめたり、飲んだワインをInstagramにアップすると抽選で記念品がプレゼントが当たるなどのキャンペーン。産地テーマは「ウエスト・ソノマ・コースト」
なのでスプリングプローモーシ加盟店でも数種類このAVAのワインが飲める可能性も高い。詳しくは専門サイトへ
カリフォルニアワイン・スプリングプロモーション202
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