ワインにとって「古酒」というジャンルはとりわけ魅力に満ちた世界。また、ワインを飲み尽くした愛飲家だけではなく、ワインショップでは若い年代のワインラバーも興味を持つ人たちが増えてきていると聞きます。古酒関連の書籍の著書もある「秋津壽男」さんのが抜栓したワインは「Monthelie 1959 neg J.Granville」
「吸い込まれるコルク」
「Monthelie 1959」
今回のワインはブルゴーニュの古酒である。ヴォルネイとムルソーの間にあるモンテリー村の赤ワインで、ヴィンテージは1959年。53年、55年と並ぶ1950年代の超当たり年である。グランヴィーユというネゴシアンのボトルだ。ところがキャップシールをはがすと、コルクがなんと1cm近く下がっている!しかも上面がワインですでに濡れているのだ。これは非常に危険なサインである。ヂュランドという古酒専用のコルク抜きを用意し、仕事にとりかかった。しかしコルクスクリューの先端がコルクに触れたとたん、みるみるコルクがボトルに吸い込まれて行ってしまった!仕方がないので「ラムネ瓶」状態のままグラスに注ぐ。あまり期待しないで一口飲んでみると、全然へこたれていない。濃厚な果実味と、綺麗に熟成した酸味が五感をくすぐる。香りこそ弱めだが堂々とした古酒である。自宅での鰤しゃぶとセコ蟹にも頼もしい相性を見せてくれた。