独自ルール「北の食には北のワイン、南の食には南のワイン」に則り、ブルゴーニュと日本を繋ぐ最高ペアリングを探せ! Part1 前半編
文/山本ジョー 写真/山本育子 画像クリエイティブ/川上デザイン事務所
グルメ大国・日本では、都道府県ごとにユニークな郷土料理が目白押しだ。その地で得られる食材を活かし、住民の知恵で調理法が確立。美味に満足した人々は辺り一帯へ、子孫へと伝え、完成していくのがご当地グルメである。長い歴史のあるもの以外に、近年はいきなり登場して一気に知名度を上げる「B級グルメ」も見逃せない。
いっぽう、フランスのブルゴーニュ地方を地図で見てみると、ワイン産地が北から南へと細長く続いているのが分かる。地域ごとに異なる気候条件がバリエーション豊かなワインを生み出している。

おや、「北から南へと細長く続く地図」? そういえば日本だって北は涼しく、南は温かいじゃないか。そう、日本のグルメもブルゴーニュワインも、南北に長い地形が大きく関わってくる。なら2国間の距離を取っ払い、日本とブルゴーニュの地図をリンクさせつつ食とワインを組み合わせていくと、いったいどうなるだろう? 気候の共通点も相まって、最高のペアリングをサクサク探していけるはず!

まずはブルゴーニュワインを計8本用意し、ワイン産地ごとに4ブロックへとグループ分け。各都道府県から集めに集めたご当地グルメ47品目も北から南へ順々に並べ、やはり4ブロックに。そしていよいよ、ペアリングを実際に検証するテイスターのお出ましだ。「いったいなんですか、この企画内容は?」と困惑の表情を浮かべながら足を運んでくれたのは、whynot?マガジンでまいどお馴染みの紫貴あき氏。いざ、「日本の北の食には、北ブルゴーニュのワイン」「日本の南の食には、南ブルゴーニュのワイン」の真実性が試される!

紫貴あき
ソムリエ | ワイン講師
日本最大級ワインスクール「アカデミー・デュ・ヴァン」では「Wine Scholar Guild認定 French Wine Scholar 資格取得講座」など数々の人気講座を担当。「2016年第10回ワインアドバイザーコンクール」優勝のほかコンクール入賞経験、また取得したワイン認定資格も数知れず。
紫貴ソムリエがジャッジ、ご当地ペアリング!
日本→北海道/東北/北陸 v.s.ブルゴーニュ→グラン・オーセロワ地区
冷涼な気候でリンク! 首都パリに一番近いブルゴーニュ、グラン・オーセロワ地区。シャブリ地区と言えばご存じ、シャルドネで造られる辛口の白ワインが有名だけれど、その周辺に広がるグラン・オーセロワ地区にも注目! グラン・オーセロワは、ピノ・ノワールを主体とした赤ワイン造りはもちろん、シャルドネの白ワインも造られている。
【合わせたいブルゴーニュワイン】
ブルゴーニュ・シトリー ブラン 2022/ドメーヌ・コルボワ

品種:シャルドネ
ブルゴーニュ・シトリーの名が付くワインは白、赤、ロゼと揃う。ブルゴーニュ=フランシュ=コンテの県庁所在地であるオーセールから約10km、遠い昔は海の底に位置するシトリーは、「キンメリジャン」と呼ばれる石灰質土壌や、粘土と石灰の混ざる泥灰土で構成された斜面にブドウが育つ。
紫貴’s 味わいコメント
「セルフィーユのようなフレッシュハーブ、ヨーグルトの香りが深みを、フレッシュで豊かな酸が心地よい緊張感をワインに与えています。余韻には、この産地の土壌に由来するミネラルを感じました」
ブルゴーニュ・トネール ブラン 2022/ドメーヌ・アラン・マティアス

品種:シャルドネ
10世紀から修道士たちが栽培と醸造の叡智を注ぎ込んできた、ブルゴーニュ・トネール。シャルドネを用いた白ワインのみを産出する。フランス全土を襲ったフィロキセラ禍以降、細々とワインを造る時代が続いたが、大地の持っていたポテンシャルの高さが1980年代に見直され、再び表舞台へ。
紫貴’s 味わいコメント
「新鮮なモモ、アカシアの花が香ります。よく熟した果物のイメージが強い香りは、きっと良く熟したブドウを上手に収穫できたおかげ。爽やかな酸味、なめらかな口当たりのバランスは素晴らしいです」
ブルゴーニュ・コート・ドーセール テロワール・ド・ヴォー ルージュ 2022/ドメーヌ・サン・パンクラス

品種:ピノ・ノワール
上述したシトリーのすぐ西側、県庁所在地オーセールの南側一帯を産地とするのが、ブルゴーニュ・コート・ドーセール。起伏のある大地の中央には、セーヌ川の支流であるヨンヌ川が南から北へと流れており、鉄道のない時代には多くのワインが船に載せられパリへ運ばれた歴史がある。
紫貴’s 味わいコメント
「アセロラ、バラ、ミント、鉄分のような印象を抱くワイン。北の産地らしい、グリーンノートもありますね。直線的な酸と控えめなアルコールのおかげで、スリムなスタイルに仕上がっています」
北海道 ジンギスカン
×
ブルゴーニュ・コート・ドーセール テロワール・ド・ヴォー ルージュ 2022
ドメーヌ・サン・パンクラス

余分な脂は溝から流れ落ちる半円形の鉄鍋を用い、ラム肉や野菜を焼くジンギスカン。「一般的な焼肉はタレは甘い、北海道ジンギスカンのタレの特徴とは果実味はあるけれど甘さだけを強調しないタレの味わいが勝負処」とは、北海道出身のwhynot?編集長・山田談。「ブルゴーニュ・コート・ドーセールの酸味が、ジンギスカンならではの甘辛なタレと調和。ラム肉の野性味もまた、ピノが持つ野性味や官能的な部分でピッタリでした」(紫貴)
青森県 いちご煮
×
ブルゴーニュ・シトリー ブラン 2022
ドメーヌ・コルボワ

いちご煮とは、いちごジャム……ではなく、ウニやアワビが入ったゴージャスなお吸い物系。青森県八戸一帯が発祥で、汁に沈むウニが野イチゴに似ている(?!)ことから名付けられたとか。「まさに旨味爆弾。出汁とヨード感が強いので、赤ワインだとタンニンとぶつかってしまうけれど。爽やかなブルゴーニュ・シトリーなら後味サッパリ」(紫貴)
岩手県 海鮮漬 宮古の瓶ドン(タコ入り)
×
ブルゴーニュ・シトリー ブラン 2022
ドメーヌ・コルボワ

牛乳瓶に海産物がギュウギュウに詰められた、岩手・宮古名物の瓶ドン。牛乳瓶に新鮮なウニを入れて保存する、宮古での風習を由来とする一品だ。「魚卵の匂いが強いので、合うワインはかなり限定されます。でもブルゴーニュ・シトリーはフレッシュな酸で潮の香りを調整してくれるし、グリーンノートがまた瓶ドンの昆布風味と合うんです」(紫貴)
宮城県 牛タン ハヤシ煮込み
×
ブルゴーニュ・コート・ドーセール テロワール・ド・ヴォー ルージュ 2022
ドメーヌ・サン・パンクラス

第二次世界大戦後、宮城・仙台の和食職人が牛タン焼きに力を入れて以来、今ではすっかり仙台名物となった牛タン料理。ハヤシソースで柔らかく煮込んだ一品には、ぜひピノ・ノワールを。「この赤ワインは単体で飲むと華奢で上品な味わいだけれど、塩気も効いた濃厚なソースを合わせると、ソースがワインをリフトアップ。果実味が増します」(紫貴)
福島県 にしんの山椒漬
×
ブルゴーニュ・シトリー ブラン 2022
ドメーヌ・コルボワ

保存食である身欠きにしんを、醤油やみりん、酢などの調味料、山椒の葉とともに漬けこんだ福島の郷土料理。「赤ワインでも白ワインでも合いそうで、かなり迷ったのですが……。酢の味と山椒の植物的な香りが特徴的な料理だと考えると、爽やかな酸がありミントの風味を持つブルゴーニュ・シトリーは方向性が近く、より相性がいいですね」(紫貴)
秋田県 いぶりがっこ
×
ブルゴーニュ・トネール ブラン 2022
ドメーヌ・アラン・マティアス

大根を囲炉裏の熱と煙で燻して水分を抜いてから糠に付け込む、いぶりがっこ。雪深い地で冬を越し春まで保存できる「燻製たくあん」だ。「クリームチーズと合わせて食べるのがオススメです。強い塩気やスモーキーさが和らぎますし、なめらかなテクスチャーのブルゴーニュ・トネールと合わせると、さらにやさしいハーモニーが生まれます」(紫貴)
山形県 玉こんにゃく
×
ブルゴーニュ・トネール ブラン 2022
ドメーヌ・アラン・マティアス

こんにゃくは日本各地にあれど、丸い玉形の玉こんにゃくは山形オリジナル。山形の各家庭で手づくりしていたのが由来となり、醤油味で煮込むのがお約束である。「普通のこんにゃくと歯応えが違って面白いですね。きっちり沁み込んだ醤油味、ちょんとつけた辛子ともぶつからないブルゴーニュ・トネールが飲みたくなる郷土料理でした」(紫貴)
新潟県 鮭の塩焼き
×
ブルゴーニュ・コート・ドーセール テロワール・ド・ヴォー ルージュ 2022
ドメーヌ・サン・パンクラス

新潟・村上は「鮭のまち」とも呼ばれ、三面川を遡上する鮭を加工保存する伝統を持つ。調理法は100以上数え、どの部位も余すことなく使い切るのだとか。「強めに塩気が効いていても、大根を添えると劇的に爽やかになりますね。鮭はもともと白身魚で、素材としては軽く淡泊な味わい。タンニンの少ないピノ・ノワールと合うわけです」(紫貴)
富山県 ほたるいかの沖漬
×
ブルゴーニュ・シトリー ブラン 2022
ドメーヌ・コルボワ

ほたるいかの産地として知られる富山。春になると、発光するほたるいかが富山湾に押し寄せ、幻想的な風景となる。ほたるいかを丸ごと調味料に浸した沖漬は、富山土産としても人気が高い。「潮の風味が口いっぱいに広がる沖漬には、海洋性の堆積物が多い土壌であるブルゴーニュ・シトリーの出番。ほたるいかの内臓の苦みにも負けません」(紫貴)
石川県 治部煮
×
ブルゴーニュ・コート・ドーセール テロワール・ド・ヴォー ルージュ 2022
ドメーヌ・サン・パンクラス

鴨肉や金沢特産の野菜などを合わせて炊く、治部煮。「私は金沢出身ですが、金沢の人は治部煮、あんまり食べないんです(笑)。でも、ほんのり甘味があってほっとする素朴な料理であることは確か。鴨肉の香りや肉質も踏まえると、ほどよいタンニンのあるブルゴーニュ・コート・ドーセールですね。飾り気のないキャラも共通しています」(紫貴)
福井県 へしこ
×
ブルゴーニュ・コート・ドーセール テロワール・ド・ヴォー ルージュ 2022
ドメーヌ・サン・パンクラス

「へしこ」とは、鯖などの青魚を塩で漬け、さらに糠漬けで熟成させた発酵食品。「へしこの塩辛さとパワフルな風味はブルーチーズなみ。そこで、クラッカーに薄切りのへしことクリームチーズを乗せてみて。冷やし気味のブルゴーニュ・コート・ドーセールと合わせると、赤ワインの果実味が際立ちます。アペリティフ時間にピッタリのペアリングです」(紫貴)
日本→関東/中部 v.s. ブルゴーニュ→コート・ド・ニュイ/コート・ド・ボーヌ地区
コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌはディジョンから南へ向かって約50kmにわたり細長く続く、日当たりに恵まれた丘陵地帯。コート・ド・ニュイは高級な赤ワイン、コート・ド・ボーヌは高級な白ワインの産地として知られる一方、とくに地理的表示を名乗るワインはお手頃価格を維持し続けている。
【合わせたいブルゴーニュワイン】
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ル・クロ・デュ・シャトー ブラン 2021/ドメーヌ・ド・モンマン

品種:シャルドネ
オート・コート・ド・ニュイ名のワインを産するエリアは、コート・ド・ニュイ地区内の南北に連なる丘陵地の南西側に位置し、コート・ド・ニュイ名が付くワインの産地より、標高が高いことが大きな特徴です。しばらく日の目を見なかった一帯だが、近年は新世代の生産者の活躍に加え、温暖化によるブドウの成熟度の向上もあり、再び注目を集めている。造られるのは赤と白、ごく少量のロゼ。
紫貴’s 味わいコメント
「グラン・オーセロワ地区のシャルドネと比べると、こちらはよりふくよかさが増しています。柔らかい洋ナシ、白桃が香り、グラスを回すとヘーゼルナッツ、トースト、ヨーグルトの香りも。なめらかな飲み口です」
ブルゴーニュ・コート・ドール プレソニエール ルージュ2021/ドメーヌ・デュ・シャトー・フィリップ・ル・アルディ

品種:ピノ・ノワール
コート・ド・ニュイとコート・ド・ボーヌ地区の丘陵のすそ野に広がる決められた40の小地区を産地とするワインがブルゴーニュ・コート・ドールとなる。こちらの赤は、ピノ・ノワールをブルゴーニュの主要品種として定着させたブルゴーニュ公国の初代公王、フィリップ・ル・アルディにちなむ名を冠した造り手が、コート・ド・ボーヌ南に所有する畑のブドウを使用。
紫貴’s 味わいコメント「第一印象は『華やか』。ラズベリー、バラ、紅茶、カルダモンのニュアンスがあり、軽やかなアタックです。酸となめらかなタンニンが調和し、みずみずしいイチゴをかじったようなフレッシュ感も中盤から感じられます」
群馬県 峠の釜めし
×
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ル・クロ・デュ・シャトー ブラン 2021
ドメーヌ・ド・モンマン

信越線横川駅にて1958年に販売をスタートしたのが、陶製の釜に入った駅弁「峠の釜めし」。鶏肉やうずらの卵、栗など具材はてんこもりだ。「鶏肉の味付けも含め、味わいはどれもやさしい。具のゴボウだけ見れば赤ワインも悪くないですが、全体のボリュームを踏まえると、やはりここは、ふくよか&なめらかなシャルドネの出番でしょう」(紫貴)
栃木県 宇都宮餃子
×
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ル・クロ・デュ・シャトー ブラン 2021
ドメーヌ・ド・モンマン
&
ブルゴーニュ・コート・ドール プレソニエール ルージュ 2021
ドメーヌ・デュ・シャトー・フィリップ・ル・アルディ

栃木の県庁所在地・宇都宮の市内には餃子の店が300軒以上。戦後に中国から戻ってきた日本人が餃子の作り方を宇都宮で広めたのが発端なのだとか。「豚肉多めのジューシーな餃子を醤油ダレにつけていただくなら、スパイシーなニュアンスを合わせて赤ワインを。お酢と胡椒につけるなら、切れ味のいい酸とオイリーさ併せ持つ白ワインが◎!」(紫貴)
長野県 おやき
×
ブルゴーニュ・コート・ドール プレソニエール ルージュ 2021
ドメーヌ・デュ・シャトー・フィリップ・ル・アルディ

粉を溶いた生地で具を巻いた信州名物おやきは、野沢菜、かぼちゃ、なす、あんこなど具のバリエーションが豊富。「野沢菜のおやきは、菜っ葉の青い風味が赤ワインのミンティさと共通します。ふわふわな皮のテクスチャーもまた、赤ワインのタンニンとバランス良。変わり種のラタトゥイユ入りおやきも試食しましたが、やはり赤ワインでした」(紫貴)
埼玉県 川越の芋
×
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ル・クロ・デュ・シャトー ブラン 2021
ドメーヌ・ド・モンマン

川越界隈は芋の生産が盛んで、その昔は高い品質が江戸でも高評価を得ていた。今の川越は芋菓子だけでなく、芋を使った懐石料理を提供する店まで並ぶ。「蒸して蜜をからめた芋料理は、ねっとりとした芋のテクスチャーがワインのなめらかさと共通します。醤油風味の蜜もまた、赤ワインが持つ果実の甘味に近いものがありました」(紫貴)
山梨県 鶏もつ煮
×
ブルゴーニュ・コート・ドール プレソニエール ルージュ 2021
ドメーヌ・デュ・シャトー・フィリップ・ル・アルディ

甲府市内の蕎麦屋が考案した鳥もつ煮は、レバー、ハツ、キンカンなどを甘辛い味つけで照り煮した料理。「鳥は淡泊ですが、臓物となれば話は別です。タンニンが濃すぎず、全体的に軽やかなブルゴーニュ・コート・ドールの赤ワインがちょうどいい。レバーなどの臓物が持つ土っぽい風味は、ピノ・ノワールの腐葉土っぽい感じとも同調します」(紫貴)
茨城県 納豆
×
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイル・クロ・デュ・シャトー ブラン 2021
ドメーヌ・ド・モンマン

特産の小粒大豆を活かし納豆生産に励んできた茨城。しかし、さすがに納豆とワインを合わせるのはチャレンジングでは……?!「いいえ、エポワスのようなウォッシュタイプチーズを発酵させるリネンス菌は、納豆菌と同じ枯草菌の仲間。となれば合わないわけがない! 納豆に山芋やオクラ、レモンを加えて味わいを調整し、みずみずしい白ワインとどうぞ」(紫貴)
東京都 佃煮(椎茸昆布、わかさぎ)
×
ブルゴーニュ・コート・ドール プレソニエール ルージュ 2021
ドメーヌ・デュ・シャトー・フィリップ・ル・アルディ

東京湾産の海産物を素材とし、江戸時代に佃島で編み出された佃煮。よく煮詰めた濃厚な味が特徴で、魚介のほか野菜や肉でも作られる。今企画では、わかさぎと椎茸昆布の佃煮を用意。「甘辛さと強めの塩分が赤ワインの果実味を増してくれ、魚介は内臓部分の苦さがワインのタンニンと同調」(紫貴)
千葉県 せぐろいわしのごま漬け
×
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ル・クロ・デュ・シャトー ブラン 2021
ドメーヌ・ド・モンマン

せぐろいわしがよく獲れる千葉・外房エリアの郷土料理。鮮度の高いうちにイワシを下処理してから塩と酢に漬け、胡麻や生姜を効かせている。「最初の香りから酸の強さを感じます。その酸味と同調させたいので、ハツラツとした酸を持つブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ白を。胡麻の香ばしさもワインのナッティさとピッタリ」(紫貴)
神奈川県 シューマイ
×
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ル・クロ・デュ・シャトー ブラン 2021
ドメーヌ・ド・モンマン

日本で一番売れている駅弁は、横浜でお馴染み崎陽軒「シウマイ弁当」なのだとか。また横浜中華街にはシューマイ提供店がごまんとある。「豚肉ベースのジューシーさには、シャルドネのなめらかさを合わせたくなります。海老シューマイもまた、甲殻類と相性抜群のシャルドネに決まり。ただ、醤油を効かせるなら赤ワインもアリです」(紫貴)
岐阜県 朴葉入り飛騨牛肉みそ
×
ブルゴーニュ・コート・ドール プレソニエール ルージュ 2021
ドメーヌ・デュ・シャトー・フィリップ・ル・アルディ

飛騨地方に多く自生する朴の木の葉は、大ぶりなサイズと分厚さに加え殺菌作用があり、火にかけても耐えられる食器となる。肉や野菜、味噌を朴葉に乗せて焼くのが飛騨流だ。「この赤ワインとは、とてつもなく合う♡。飛騨牛の上質な脂と味噌のコクが溶け合った深みのある味わいは、赤ワインのさわやかさな酸を加えることで、軽やかな後味に」(紫貴)
静岡県 金目鯛の煮つけ
×
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ル・クロ・デュ・シャトー ブラン 2021
ドメーヌ・ド・モンマン

静岡の下田港は、金目鯛の水揚げ量が日本一。醤油、酒、砂糖で煮た金目鯛の煮つけは、静岡の飲食店でも各家庭でも愛されてきた。「味付けが濃いめですとピノ・ノワールも合うのですが、そもそも身の部分は淡泊。また食材が持つ脂の量、臭み消しとして加えた生姜の効かせ方にもよりつつ、シャルドネのほうが合わせやすい料理だと思います」(紫貴)
愛知県 手羽先の唐揚げ
×
ブルゴーニュ・コート・ドール プレソニエール ルージュ 2021
ドメーヌ・デュ・シャトー・フィリップ・ル・アルディ

食のイベント「手羽先サミット」が毎年開催されるほど、手羽先への愛が止まない愛知・名古屋。名古屋では多くの店舗が、競うように手羽先の唐揚げを提供する。「手羽先はコラーゲンも脂分もたっぷり。口中にペッタリ残る旨味にピノ・ノワールの軽いタンニンを加えるハーモニーを楽しんで。甘辛い味つけもピノの果実味を上げてくれます」(紫貴)
三重県 トンテキ
×
ブルゴーニュ・オート・コート・ド・ニュイ ル・クロ・デュ・シャトー ブラン 2021
ドメーヌ・ド・モンマン

豚のステーキ、トンテキは三重・四日市名物。厚切りの豚肉ソテーはニンニクを効かせ、千切りキャベツを添えるのが基本だが、今は三重県内の各店舗でオリジナリティを発揮している。「肉のリッチさとニンニクの風味は、赤ワインのタンニンでマスキングしないほうがいい。酸と心地よい苦みのある白ワインが、寄り添うスタイルに」(紫貴)