日本の海が育てた、奇跡の一粒。牡蠣-1グランプリ2025完全レポート
文/山田 靖
日本全国から選りすぐりの牡蠣生産者が集結し、その技術と情熱を競い合う一大イベント「全国牡蠣-1グランプリ2025(通称:カキ-1)」が、2025年3月22〜23日、昨年に続いて東京・豊洲市場にて開催されました。
全国から「我こそは」と自信にあふれた生産者が集結し、魂のこもった牡蠣を持ち寄り競い合うこのイベント。審査員の皆さんは昨年審査委員長を務めた服部幸應先生の意志を継いでいる方達。リストランテ・アルポルトのオーナーシェフである片岡護氏をはじめ、飲食や流通を代表するカキのプロフェッショナル、そしてクラウドファンディングに参加した愛好家たちが、真剣に牡蠣に向き合います。
さらに今年は“生食”と“加熱”の各部門に加え、「シングルシード方式」「カルチ式」「イワガキ」など養殖法別にも細分化され、より多角的な視点から評価されています。
厳正な審査の末、それぞれの部門で「最高金賞」に輝いた牡蠣たちはこちら!
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シングルシード方式:牡蠣の幼生を一粒ずつ分離して育てる養殖方法です。殻がきれいで形が整った牡蠣に育ちやすく、高級食材として評価されます。主にカゴやトレイで育てられます。
カルチ式:牡蠣の幼生をホタテの貝殻などに付着させ、海中に吊るして育てる養殖方法です。海水中の栄養を取り込みやすく、効率的に成長させることができる。
<生食の部>
■マガキ(シングルシード方式)部門

最高金賞:吉見丸(佐賀県唐津市)
玄界灘の豊かな海で育まれた吉見丸のシングルシード牡蠣は、小粒ながらも身が締まり、クリアで繊細な味わい。海水のミネラルをたっぷり吸収し、雑味のない上品な旨味が特徴です。環境に配慮した養殖法も評価され、見事栄冠に。
金賞 室津漁業協同組合(兵庫県たつの市)、勇和水産(岡山県笠岡市)
銀賞 合同会社新栄丸(大分県佐伯市)、マルハチ(福岡県糸島市)
特別賞 新富津漁業協同組合(千葉県富津市)
■マガキ(カルチ式)部門

最高金賞:有限会社フルスイ(広島県東広島市)
牡蠣の名産地・広島からエントリーしたフルスイの牡蠣は、カルチ式ならではの大ぶりでふっくらとした身質が魅力。濃厚な海の香りとミルキーな旨味が口いっぱいに広がる、王道の生食牡蠣として堂々の受賞。
金賞 海良水産(兵庫県赤穂市)、飛龍丸水産(福岡県糸島市)
銀賞 極丸水産(佐賀県鹿島市)、梶本水産株式会社(兵庫県たつの市
■イワガキ部門

最高金賞:糸島牡蠣小屋のぶりん(福岡県糸島市)
夏の味覚・イワガキ部門では、糸島の人気牡蠣小屋「のぶりん」が金賞を獲得。磯の香りとクリーミーさを併せ持つ贅沢な味わいで、審査員の舌を魅了しました。糸島の清らかな海が育んだ、まさに“夏の宝石”。
金賞 吉田水産株式会社(兵庫県たつの市)、海士いわがき生産株式会社(島根県隠岐郡海士町)
<加熱の部>
■マガキ(シングルシード方式)部門

最高金賞:合同会社新栄丸(大分県佐伯市)
加熱してもふっくらとした食感を保つ新栄丸の牡蠣は、火を通すことでさらに旨味が凝縮されるのが特徴。佐伯湾の穏やかな潮流と栄養豊富な海が育んだ逸品は、焼き牡蠣・フライ・鍋など、どんな料理とも相性抜群。
金賞 海幸丸(佐賀県唐津市)、有限会社千代丸水産(高知県宿毛市)
■マガキ(カルチ式)部門

最高金賞:有限会社丸十水産(広島県呉市)
加熱部門のカルチ式で頂点に立ったのは、老舗・丸十水産の牡蠣。火を通しても身が縮まず、プリッとした食感と濃厚なコクがたまりません。伝統的な技と最新の管理技術が融合した、職人の魂が宿る一粒です。
金賞 海洋テック株式会社(香川県高松市)、かきのますだ善幸丸(福岡県糸島市)
銀賞 海幸丸(佐賀県唐津市)、株式会社竹内水産(兵庫県相生市)
カキフライ部門 最高金賞

最高金賞:有限会社長石商店(宮城県東松島市)
外はサクッ、中はジューシー。牡蠣の旨味を最大限に引き出す絶妙な揚げ加減で、審査員全員がうなる出来栄え。
金賞 タカノブ食品株式会社(広島県府中市)、クニヒロ株式会社(広島県尾道市)
<バラエティの部>
■ 日本一大きい牡蠣部門(イワガキ)

海士いわがき生産株式会社(島根県海士町)
片手に収まらない驚きのサイズ。まさに“海のモンスター”。
■ 日本一大きい牡蠣部門(マガキ)

合同会社Oyster Professional(徳島県鳴門市)
見た目のインパクトと味のギャップに驚かされる、巨大マガキ。
■ 日本一美しい牡蠣部門

井関水産(島根県隠岐の島町)
形、色、光沢とどこから見ても“映える牡蠣”。食べる前に写真必須。
■ 意匠部門

津田宇水産株式会社(兵庫県たつの市)
牡蠣を使ったパッケージデザインや提供スタイルの創意工夫が評価。見せ方も味のうち、という新しい視点。
今年の大会では、単なる味だけでなく、持続可能性や養殖技術の革新性も大きな評価軸となりました。特に注目されたのが、「シングルシード方式」による品質安定と環境配慮、そして地域資源を活かしたブランド戦略。
全国各地の努力と工夫が結実した「牡蠣の祭典」は、日本の海の未来と食の可能性を確実に広げていると言えますね!
そして各地の生産者たちは、単なる“牡蠣を育てる”を超えて、海と地域と人々をつなぐ“ストーリー”を牡蠣に込めているように感じました。





2026年のグランプリでは、さらにどんな牡蠣が登場するのか。
その成長を見守りつつ、まずは今年の“牡蠣の王者”たちを、味わい尽くしてみてはいかがでしょうか?
主催者・全国牡蠣協議会事務局の全国牡蠣-1グランプリ2025公式ページ
https://j-ofa.com/grand-prix-2025