文・写真/島 悠里
My wine journey by Yuri Shima ~世界のワイン便り Vol.16
収穫の秋。ワイン産地ではブドウの収穫の真っ最中で、今年のワイン造りが着々と進んでいます。シャンパーニュはまたしても早い収穫年となり、一番早い収穫解禁日はモンギュー村の8月19日で、8月中旬からブドウの収穫が始まりました。
2017年から毎年、収穫時期のシャンパーニュを訪問し、その年の収穫の特徴やブドウの状態を観察しています。今回の収穫訪問では、9月初旬の一日、シャンパーニュ・ボランジェで収穫体験のプログラムに参加しました。

Champagne Bollingerの皆さん
朝、事前に配られたボランジェのTシャツと帽子を身に着け、トーシエール・ミュトリー(Tauxièrers-Mutry)村にあるボランジェの畑に集合。まずは栽培責任者のガエルさんの説明を聞いて、世界各地から集まったシャンパーニュ専門家の皆さんと、ピノ・ノワールのブドウを収穫しました。トーシエールはモンターニュ・ド・ランス地区とヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区が交差する場所にある一級格付けの村で、ボランジェのワイン造りにおいて、中核となるクリュ(村)の一つ。ボランジェはここに18ヘクタールの畑を所有しています。これらは、現オーナーファミリーが1900年前半に購入したもので、ファミリーとの縁が深い場所。私たちが収穫を手伝った翌日は、毎年の恒例行事として、ファミリー20数名が集まり収穫をしたそう。
ここは、少し冷涼な場所のため、収穫時期は遅め。ワインには、繊細さやエレガントさが表現されると言います。以前紹介した、以前紹介した、ピノ・ノワール100%で造る「PNシリーズ」で、最新のものが「TX20」なのですが、「TX」はトーシエールのこと。すなわちこの村のブドウが多くブレンドされているのです。
以前紹介した記事「Champagne Bollingerのピノ・ノワールにかける想い ~PNシリーズ」を読む。

収穫後は、畑のすぐ側でランチタイム。私たちのグループの他にも、ボランジェ・チーム、そしてヨーロッパからのワイン・トレードの方たちが合流しました。ランチでは、ボランジェが単独所有するアイ村のアイコニックな「ラ・コート・オー・ザンファン」区画の(赤ワインではなく)シャンパーニュバージョンや、リリースしたての「B 16」を試飲。 ファミリーメンバーのシリル・ドゥラリュ(Cyril Delarue)さんは「このシリーズは、グラン・ダネのブレンドとは異なり、自由な発想で造られる」と言います。「B 16」はトレパイユ、ブージー、ヴェルジイ、ヴェルズネイなどのピノ・ノワール70%、シャルドネ30%のブレンドで造られています。

ランチの後は、近隣のマレイユ・シュール・アイ村の圧搾所を見学してプログラム終了。ボランジェは将来に向けて、畑・醸造ともに様々な実験的取組みをおこなっていて、その一部を見ることができました。そして、今回、私たちチームが収穫したブドウの量と同等の額がチャリティに寄付されるとのこと。このようなプログラムに参加できて、ボランジェをより知ることができました。

マネージング・ディレクターのシャルル=アルマン・ド・ベレネ(Charles-Armand de Belenet)さんから修了証を受領
さらにボランジェは、2029年の200周年を見据え、大規模なリノベーションプランを進めています。来年には改装されたセラーが披露される予定で、またワインツーリズムにも力を入れ、その一環でブティックホテルも建設中。今後も楽しみな話題が尽きないですね!

今年のボランジェ収穫プログラムには、多国籍チームで参加しました。