お酒を自由に楽しみ、セレンディピティな出会いを

WINE

オークション・ナパヴァレー

文・写真/島 悠里

My wine journey by Yuri Shima ~世界のワイン便り Vol.15

カリフォルニアのワイン産地としてまず思い浮かぶのが、ナパヴァレー。ナパは高品質のワインを生み出す、世界的に名の知れたワインの銘醸地ですが、わたしにとっても2006年に初めて訪れて以来、数え切れないほど足を運んできた思い出深いワイン産地です。

ナパの幹線道路をドライブすると、名門ワイナリーが次々と姿をあらわし、胸が高鳴ります。新しい取組みなど、何度訪れても新たな魅力が発見できる場所ですが、行くたびに強く感じるのは、コミュニティの温かさと結束力。

その原動力となっているのが、ナパヴァレーの振興・保護・向上をミッションとする非営利団体「ナパヴァレー・ヴィントナーズ(NVV)」です。NVVの様々な活動の中でも大きなイベントが、年に2回開催されるワインオークション。ここで集められた資金は、NVVの活動費や慈善団体への寄付となり、地域の発展に役立てられます。


今年6月にも、一般ゲスト向けの「オークション・ナパヴァレー」が開催されました。会場はセントヘレナのルイ・M・マルティーニ・ワイナリー。2000名を超える生産者やナパワインの愛好家たちが集まり、大いに賑わいました。会場には、ワインのほか、ナパの有名レストランによるおつまみやコーヒー、チョコレートなど、ナパ発の美味しいものが並び、ワインを片手に談笑する人々の姿で、会場は活気に包まれていました。

このオークションの特徴は、生産者が「One of a kind(唯一無二)」、つまりこのためだけに仕込んだ特別なワインを出品すること。ゲストたちは、生産者から解説を聞きながら樽から注がれるワインを試飲し、その上で気に入ったものに入札できます。

例えば2023年のPremiere Napa Valleyオークションでは、
SpottswoodeとGrgich Hillsの2生産者がコラボして作った
唯一無二のワインが出品されました。

今回のオークションで集まった額は650万ドル(約9億5千万円)。この資金は、ナパの子どもたちの健康支援プログラムに活用されます。

また、NVVの日本事務局では、NAPA VALLEY WINE EXPERT認定プログラムを実施していて、成績優秀者の中からナパヴァレー・ワインのアンバサダーを選出しています。アンバサダーたちは、ソーシャルメディアでの情報発信やイベント開催などを通じ、日本でナパワインの魅力を広める活動をおこなっています。ぜひ注目してみてください。

ナパヴァレー・ワイン・ベスト・ソムリエ・アンバサダーとNVV駐日代表の方たちと。

ナパヴァレー・ヴィントナーズによる日本国内の情報発信はこちら
https://www.instagram.com/napavintnersjapan/

  • 記事を書いたライター
  • ライターの新着記事
島 悠里

大学卒業後、外資系投資銀行勤務、米国ロースクール留学。その後、国際弁護士事務所勤務を経て、パリの国際機関で勤務(国際貿易・投資法が専門)。 ワインが日常にある、フランスやカリフォルニアに住んだことがきっかけでワインに魅了され、2018年にサンフランシスコでWSET Diplomaを取得。2019年のロンドンでの卒業式では、総合上位の成績でInternational Wine and Spirits(IWSC)賞を受賞。 ワインの分野では、国内外のメディアでのワイン記事執筆、ワインセミナーでの講師、ワインイベントのオーガナイザー、国際的なワイン品評会でジャッジを務めるなど幅広く活動。特にシャンパーニュに力を入れている。 米国ニューヨーク州弁護士 WSET® Level 4 Diploma WSET® Certified Educator&Level 3 Internal Assessor J.S.A. 認定ワインエキスパート IWSC ジャッジ(シャンパーニュ・スパークリングワイン部門)

  1. オークション・ナパヴァレー

  2. シャンパーニュ・ランソンの新しい「プライベート・コレクション」プログラム

  3. いま、最も注目されているシャンパーニュのブランドは?

RELATED

PAGE TOP