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SPIRITS & LIQUEUR

魚とも合う⁉︎ バーボンの新しい扉を開く——「バッファロー・トレース」がくれる豊かな晩酌時間

文/山田 靖

「ウイスキーは難しそう」「バーボンって、濃くて重たそう」——そんな先入観をふっと溶かすような、香り高い体験がこの夏、有楽町で開かれた。

アメリカ・ケンタッキー州が誇る名門蒸留所「バッファロー・トレース」から、マスターブレンダーのドリュー・メイヴィル氏が来日。会場となったのは、「世界の山ちゃん」の上級ライン「山」有楽町店。スペシャルゲストには料理家・コウケンテツさんも登場して、ちょっと意外な“ウイスキーとの付き合い方”を教えてくれました。

この試飲会は単なるテイスティングの場にとどまらず、“ウイスキーと食”の新しい可能性を体験するひとときとなった。

五感で味わうバーボン、その奥深さに触れる

バッファロー・トレース蒸留所は、アメリカで最も長い歴史を持つ蒸留所の一つ。設立はなんと1775年。アメリカ国定歴史建造物にも登録される由緒ある場所だ。

「香料も着色料も一切なし。新品の焦しオーク樽で熟成される純粋な造りが、深い味わいを生み出します」。そう語るドリュー氏は、バーボンづくりの伝統を守りながらも、現代にフィットするテイストの探求を続けている。

会場では「バッファロー・トレース」と「イーグル・レア」を中心にテイスティングが行われ、ドリュー氏が解説を添えた。

マスターブレンダーのドリュー・メイヴィル氏、奥様も来日され同席されていた。

「最初に感じるのは、甘さとフルーティさ。次第にスパイシーなニュアンス、そして奥にはドライなオーク香。複雑でありながら、非常にバランスが取れたバーボンです」

ウイスキーに馴染みのない人でも、このガイドに沿って味わうと、「香りや味のストーリー」が感じ取れる。まるで小説を読むように、グラスの中に世界が広がっていくのだ。
ウイスキーって、飲む側の“受け取り方”でも味わいが変わるらしい。初心者こそ、五感を使って自由に感じることが大事なんだとか。ルールに縛られないここが、実は大切で楽しい味わい方なかもしれない。

バーボン×和食!? コウケンテツ流“意外なペアリング”

バーボン体験をさらに面白くしたのが、コウケンテツさんによる“晩酌提案”。
「僕、毎晩ウイスキー飲んでますけど、ごはんと一緒に食べてるんですよ」と笑うコウさん。
「僕が今回おすすめしたいのは、和食、それも魚料理なんです」。


えっ、バーボンに魚⁉︎と思うかもしれない。でも彼いわく、発酵調味料(味噌や醤油)との相性が抜群で、青魚の脂をすっと洗い流してくれるのが、バーボンの魅力なのだとか。実際に会場では、「ぶりの照り焼き」「サバ味噌」などと合わせて楽しむ提案がなされ、その意外性に驚きと感嘆の声が上がった。

さらにコウさんがこの日のために考案したのが、「マグロと夏野菜のオリーブ醤油マリネ」。まぐろ、トマト、きゅうり、みょうが、青じそといった和の素材に、柚子こしょうやオリーブオイルを効かせた一皿だ。食卓にそのまま出せるカジュアルさと、バーボンとの香りの交差がたまらない。

今回はコウケンテツさんがレシピも公開いただいたので、皆さんもチャレンジを!
まぐろと野菜のオリーブ醤油マリネ
【材料(2~3人分)】
まぐろの刺身 1さく、フルーツトマト 1個、きゅうり 1本
みょうが 1~2個、青じそ 2~3枚、玉ねぎ 1/16個
しょうがのすりおろし 1かけ、ミックスリーフ、仕上げ用のオリーブオイル 適宜
●A

オリーブオイル 大さじ3、しょうゆ 大さじ1、柚子こしょう 小さじ1
【作り方】
1 まぐろは薄いそぎ切りにする。
2 玉ねぎはみじん切りにして水にさらして水けをしっかり絞る。トマトはヘタを切って1cm角に切る。きゅうりはヘタを切り、縦に十字に切り目を入れてささがきをするようにきゅうりを回しながら粗く刻む。みょうがは縦4つ割にして小口切りにする。青じそはみじん切りにする。
3 ボウルに2の野菜を入れてAの半量を加えてよく混ぜ合わせる。
4 器にまぐろを並べてミックスリーフを盛り、3をかけてしょうがを散らす。残ったAを適量回しかけて、粗びきこしょうをふる。野菜とまぐろを一緒にいただく。

今こそ、バーボンをはじめよう

ちなみに、バッファロー・トレースはアメリカでは超定番のバーボン。だけどその味は、甘さ・スパイス・香りのバランスがとてもよくて、どんな料理とも合いやすい。日本でもAmazonなどで手軽に買えるので、ちょっと試してみるのもいいかもしれません。

コウケンテツさんいわく、「固定概念を取っ払って、お酒と食のストーリーを一緒に楽しんでほしい」。ドリューさんも、「今日はみなさんの舌がケンタッキーに旅したと思ってもらえたら嬉しいです」と語っていました。

お酒って、もっと自由でいい。
決まりなんか気にしないで、自分のペースで、好きなごはんと一緒に楽しむだけ。
次の晩酌、ちょっとだけ特別な1杯を、バッファロー・トレースでどうですか?

バッファロー・トレース
参考価格:3,830円

イーグル・レア 10年
参考価格:8,250円

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山田_yamada 靖_yasushi

Why not?マガジン編集長。長くオールドメディアで編集を担当して得たものをデジタルメディアで形造りたい。座右の銘は「立って半畳、寝て一畳」。猫馬鹿。年一でインドネシア・バリのバカンスはもはやルーティン。

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