~ワイン・エキスパート4人が本気で比べた。KWVで体験する品種の個性とペアリングの発見~
取材・文/山本ジョー
ソムリエが評価するワインと、愛好家(一般消費者)が楽しむワイン。その視点は似ているようで少し違う。
前回のKWV特集では、4人の若手ソムリエがシュナン・ブランとピノタージュをテイスティングし、その品質の高さと料理との相性を語ってくれた。
今回はその続編として、ワインエキスパート資格保有者やテイスティングコンクール入賞経験者など、ワインリテラシーの高い一般消費者4名がKWVを検証する。
テーマは「同じ品種でも、レンジが変われば表情はどう変わるのか」。シュナン・ブラン3本、ピノタージュ3本、そしてスパークリング1本を比較試飲しながら、その個性を読み解く。さらに後半では、意外にも相性抜群だった『缶つま』とのペアリングも紹介。ワインをもっと身近に、もっと自由に楽しむヒントを詰め込んだ。
ケイ・ダブリュー・ヴィ(KWV)で追いかける、品種の個性と進化
ポルトガルのヴァスコ・ダ・ガマが、船でアフリカ大陸をぐるっと回りインドへ到達する「インド航路」を開拓したのは15世紀のこと。以来、ヨーロッパとアジアを結ぶ交易基地として、アフリカ大陸南端の南アフリカが一気に賑わった。寄港する船の乗組員たちに食料を供給するべく、ヨーロッパからもたらされた技術が南アフリカの農業を発展させたのだ。ワイン生産もしかり、1655年に初めてブドウ樹が植えられ、温暖な地中海性気候を好むブドウ品種がすくすく成長していった。
21世紀の現在、南アフリカは世界が認める一大ワイン産地である。
何十年もの齢を重ね幹が極太となった古樹から、新興生産地では得られない凝縮感あるブドウを収穫。そして、ヨーロッパ由来の伝統的な造りを真面目に継承。逆にヨーロッパのワインと明らかに違う点は、ピノ・ノワールとサンソーを交配したピノタージュに注力してきたこと。南アフリカで“ガラパゴス”的な独自路線を貫き、今や南アフリカワインの顔となっている赤ワイン用品種である。かたや白用品種の代表は、シュナン・ブラン。南アフリカワイン全体が高級ワイン路線へ舵を切るにつれ、カジュアルレンジも並行して目覚ましい品質向上を見せている。

南アフリカのワインがここまで品質を高められたのは、KWV(南アフリカブドウ栽培協同組合)の存在が非常に大きい。国の主導によりスタート、その後は民営となりながら、最大手ワイン・メーカーとして南アフリカ全体のワイン産業をリードし続けてきた。現在のKWVは50以上の栽培農家と長年の契約を結び、品質の安定性には定評がある。そのため、「南アフリカワインとは?」「南アフリカらしさとは?」との問いに対し、すべてのワインが的確な回答を味わいで示してくれるのだ。
つまり、南アフリカワインの代表品種を理解するには、KWVの「同じ品種のシリーズ違い」で共通項を拾い上げつつ、バリエーションの広がりも同時に確認していくのが実にわかりやすい。そこで、読者を代表して中野智広さん、宮本英明さん、阿久津尚子さん、稲生穂高さんのエキスパートたち4名に、KWVの白シュナン・ブラン3種、赤ピノタージュ3種、さらにピノタージュをブレンドしたスパークリングワインを試飲してもらった。
FLIGHT 1:シュナン・ブラン編

(左より)カジュアルな価格で提供される「KWV クラシック・コレクション シュナン・ブラン 2025」、消費者のニーズを読み凝縮感を高めた「KWV ヘリテージ・コレクション シュナン・ブラン 2024」、厳しい選果とふんだんな樽使いで香り豊かな「KWV ザ・メントーズ シュナン・ブラン 2023」
KWV クラシック・コレクション シュナン・ブラン 2025
産地:南アフリカ 西ケープ州
品種:シュナン・ブラン 100%
参考価格:1,350円(税抜)
中野「シュナン・ブランらしい果実味と酸とのバランスがとれている。アフターは長めで心地よい苦みが続く」阿久津「レモン、リンゴ、青リンゴと爽やかな香り。スッキリした味わいで、明るい陽射しが似合うワイン」
KWV ヘリテージ・コレクション シュナン・ブラン 2024
産地:南アフリカ 西ケープ州
品種:シュナン・ブラン 100%
参考価格:2,000円(税抜)
稲生「果実味に樽由来の苦みが加わり、複雑さがプラス。飲用温度を上げてテクスチャーをじっくり味わいたい」宮本「ドライハーブとバニラが香る。ミネラル感と力強い旨味があり、後半の厚みある余韻が特徴的」
KWV ザ・メントーズ シュナン・ブラン 2023
産地:南アフリカ スワートランド
品種:シュナン・ブラン 100%
参考価格:3,753円(税抜)
阿久津「シュナン・ブランならではのやさしさと樽の風味が楽しめる。香りがすばらしく、例えるなら『シュナン・ブラン界のムルソー』」宮本「ヘーゼルナッツが香り、余韻は長く複雑。メイン料理とも合わせられる」
FLIGHT 2 ピノタージュ編

(左より)品種特性を知るに最適な「KWV クラシック・コレクション ピノタージュ 2025」、テロワールを反映させ複雑な風味を持つ「KWV カセドラル・セラー ピノタージュ 2020」、フレンチとアメリカンオーク樽を併用し果実味とのバランスも絶妙なモダンスタイルの「KWV ザ・メントーズ ピノタージュ 2021」
KWV クラシック・コレクション ピノタージュ 2025
産地:南アフリカ 西ケープ州
品種:ピノタージュ 100%
参考価格:1.350円(税抜)
中野「チャーミングな赤系果実に加えヨード系の香りを感じる。余韻には、南ア特有のスモーキーな風味が」稲生「もぎたてベリーのような果実味が中心。少し甘やか、タンニンはなめらかで、シンプルな味わい」
KWV カセドラル・セラー ピノタージュ 2020
産地:南アフリカ 西ケープ州
品種」:ピノタージュ 100%
参考価格:2,700円
宮本「ブラックペッパー、ドライハーブが香る。塩味が少々、凝縮感やコクは強く感じる」阿久津「果実味、渋味、酸味のバランスがとれている。血や鉄のニュアンスを持ちつつも、エレガントな仕上がり」
KWV ザ・メントーズ ピノタージュ 2021
産地:南アフリカ ステレンボッシュ
品種:ピノタージュ 100%
参考価格:4,231円(税抜)
稲生「熟したプラムやブラックチェリー、オリーブ、リコリスなどが香る。タンニンがしっかりとしていて重厚」中野「ピノタージュの新たな一面が見られる。南アらしい独特な風味がきれいに洗練され、高級感あり」
FLIGHT 3 スパークリングワイン編

KWV ラボリー スパークリング・ブリュット NV
産地:南アフリカ 西ケープ州
品種:シャルドネ61%、ピノ・ノワール31%、ピノタージュ8%
参考価格:2,700円(税抜)
阿久津「蜜入りの熟したりんご、ブリオッシュが香る。味わいは複雑」稲生「泡のキメが細かく、フレッシュで爽やかな酸味がリフレッシュに最適」中野「ピノタージュが余韻部分でしっかり仕事をしている」
では、何を合わせる? 家飲みペアリング実験
フランスワイン好きとチリワイン好きが集まるホームパーティへ、もしも1本だけワインを持っていくとしたら? その最適解のひとつが、南アフリカのワインである。オーセンティックでありながら、どこか新しい発見がある。保守派にも革新派にも、自然に話題をつくってくれる存在だ。
では、そのワインに何を合わせるか。気の利いた前菜を手づくりするのもいいけれど、ホームパーティや家飲みの場では、もっと気楽で、しかもちゃんとおいしい選択肢があるとうれしい。フタを開けるだけで一品になり、魚介、肉、燻製、スパイス系まで幅広く揃う缶詰のおつまみ。なかでも「缶つま」シリーズは、ワインとの相性を考える素材としてもかなり頼もしい。 そこで今回は、KWVのシュナン・ブラン、ピノタージュ、スパークリングを試飲した読者代表4名に、その味わいを踏まえた「缶つま」ペアリングも提案してもらった。ホームパーティの手土産に、あるいは普段の家飲みに。KWVのワインと「缶つま」は、思った以上に自由で、楽しい組み合わせなのだ。

ワインに精通する食いしん坊4名が、「缶つま」シリーズから上述のKWVワインそれぞれに合うものを提案。「缶つま」には15.000円の超高級品もあるにはあるが、自分でリアルに購入できる額として今回は「700円以下」に限定した。
「缶つま」シリーズは和食系、洋食系、創作系と揃っているので、チョイス次第でペアリングの可能性は大いに広がっていく。ワインパーティでは何かとせわしないホストが用意しておけば負担軽減、ゲストが持参すれば大いに感謝される。もちろん、家に常備しておけば普段の家飲みでも大助かりだ。
さて、ワインエキスパートたちはKWVワインにどんな「缶つま」をペアリングしていったのだろう?
斬新!「缶つま」ペアリング

KWV ラボリー スパークリング・ブリュット NV
♥
K&K 缶つま 厚切りベーコンのハニーマスタード 580円(税抜)
Selected by 阿久津

阿久津「しっかりとしたコクのあるスパークリングに、比較的シンプルで王道のツマミを合わせました。そのほうが、このスパークリングのポテンシャルを皆さんに伝えやすいはず」
稲生「私も軽めで塩の効いた肉料理が合うと思っていました。このベーコンは、脂の潤いあるテクスチャーがスパークリングにピッタリ」
宮本「ピノタージュともペアにできそうな、『缶つま』のなかで万能な一品。でも、このスパークリングはとくに泡のテクスチャーが柔らかいから、さらに合ってしまうんです」
KWV ラボリー スパークリング・ブリュット NV
♥
K&K 缶つま とろ〜りスパイスたまご 390円(税抜)
Selected by 阿久津

阿久津「たまご料理を選ぶのは、かなり勇気が要りました! でも、スパイス感を黄身がカバーしてくれ、山椒の辛味があとをひかない。結果、スパークリングとは驚くほど相性がよかったです」
中野「山椒の強さはカルダモンでも調和されていますね。ピノタージュがブレンドされているからこそ、のペアリング」
宮本「スパークリングには後半にピノタージュ由来の渋味がありつつ、泡がきめ細かいからキツくならないのが勝因です」

KWV クラシック・コレクション シュナン・ブラン 2025
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K&K 缶つま 鶏ハラミ 直火焼 530円(税抜)
Selected by 稲生

稲生「シンプルな果実味に合わせるなら、軽めの肉で、しかもシンプルな塩味がベター。さらにハラミという部位のやわらかさが加われば、シュナン・ブランのフレッシュさが引き立つと考えました」
宮本「白身肉のやさしさ、皮の脂の旨み、どちらもワインの酸味と想像以上にマッチしています」
阿久津「やわらかくてホロホロした肉質だから、ワインがすっと入っていく感覚。適度な胡椒のスパイス感がまたシュナン・ブランの爽やかさに合いますね。

KWV ヘリテージ・コレクション シュナン・ブラン 2024
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K&K 缶つまSmoke たこ 630円(税抜)
Selected by 稲生

稲生「樽のニュアンスがあるリッチなワインだから、噛み応えのある貝や蛸のように、テクスチャーを感じられる食材がいい。この缶つまは、とくに燻製によるスモーク感が樽の風味とマッチします」
宮本「『缶つま』のラインナップはビールや日本酒とのペアリングを想定したものが多いけれど、ワインともきちんと合うことがこの白ワインとたこで実証されました」
阿久津「スパークリングとも合うと思いましたが、これはこれでワインの樽感にピッタリですね」

KWV ザ・メントーズ シュナン・ブラン 2023
♥
K&K 缶つま 四川風よだれ鶏 530円(税抜)
Selected by 宮本

宮本「シュナン・ブランはやや甘口だと中華に合わせるのが定番です。このワインは超辛口ながら果実の凝縮感があり、口中で甘味と旨みが主張。そこで、旨みと辛味ある鶏ならバランスがとれると考えました」
稲生「ウマイ!最初にごま油の香りが立ち昇るので不安になりましたが、口に入れるとシュナン・ブランが食材に寄り添ってギュッと抱きしめてくれます」
中野「シュナン・ブランの果実味が、四川風の辛味をコーティングしてマイルドな後味になるんですね」

KWV クラシック・コレクション
ピノタージュ
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K&K 缶つま 日本近海獲り ハバネロサーディン 550円(税抜)
Selected by 中野

中野「赤ワインにあえて魚を選んだほうが面白いと思い、ちょっと冒険してハバネロサーディンに。スパイシーな香りがあるピノタージュだから、ハバネロの刺激とも合わせてみたかったんです」
稲生「まさに、そのハバネロがいい仕事をしている印象。このレベルのピノタージュだからこそのペアリングで、高級過ぎちゃうとまた違ってくるんですよね」
阿久津「いわしの生臭さが広がりそうなところを、ハバネロとピノタージュのほどよいタンニンで抑えてくれるのが意外」

KWV カセドラル・セラー ピノタージュ 2020
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K&K 缶つまSmoke あい鴨 550円(税抜)
Selected by 中野

中野「ピノタージュは『クラシック』よりも『カセドラル・セラー』のほうが果実感と凝縮感を強く感じます。なので、樽の香ばしさだけでなく果実の旨みを考慮し、スモーク香と旨味ある鴨をチョイスしました」
稲生「あい鴨を超えるペアリングはない! ほかの『缶つま』と合わせると、ピノタージュの果実味が悪目立ちします」
宮本「ロースト香と果実味の上がり方が、食材によっては難しくなるんですよね。この鴨とは、高いレベルでペアリングに成功しています」

KWV ザ・メントーズ ピノタージュ 2021
♥
K&K 缶つま 豚ハラミ焼 スタミナガーリック 600円(税抜)
Selected by 宮本

宮本「普通のワインなら、まずガーリックに負けてしまうでしょう。しかし、このピノタージュの圧倒的なボリューム感と余韻の長さがあれば大丈夫。豚肉のパワフルさにも負けません!」
稲生「ガーリックを食べたという満足感が非常に強い『缶つま』。そんな一品を持ってくる勇気がまずスゴイ」
中野「ガーリックの強さが、もはや二郎系ラーメンですから(笑)。でも、ワインが本当にいい仕事をしてくれています。この価格の『缶つま』でパワーあるペアリングが成立すると楽しいですね」

KWVワイン7本試飲と『缶つま』ペアリングを終えて

阿久津尚子さん
「一番印象に残ったのは、ピノタージュとサーディンのペアリング。軽い酸味を持つピノタージュだからこそ、合わせる料理の幅が広がるのでしょう。また、どの『缶つま』もスパイスの効かせ方がペアリングのカギを握っていると再認識。KWVのワインはどれもスパイスに負けないおいしさと奥行きがあり、同時にそのスパイスが食材と間を取り持ってくれるのだと分かりました」

稲生穂高さん
「KWVのワインは品種特性、土壌、気候をきっちり反映させつつ、イヤミのない個性を確立しているアイテムばかりだから、ペアリングにおいて汎用性は高い。とはいえ、『この食材と合わせたらワインはこうなるんだな』というピンポイントな気づきを、手軽な『缶つま』で会得してみては。樽の効いたシュナン・ブランだからこそマッチするペアリングを発見できたりして面白いですよ」

中野智広さん
「ペアリングって正直、ビギナーが自分で探しだすのはかなり難しい。ワインをよく知っている人でさえ、自分の力でベストなペアを発見するのは大変です。なので、私たちが発見したKWVワインと『缶つま』のお手軽なペアリング・セットをまず再現してもらい、『ガーリックやハバネロが合うワインもあるんだ』『この価格のKWVでこの味はビックリ』と体感していただきたいですね」

宮本英明さん
「KWVのワインは、皆にナイショにしたいくらい不当に安い(笑)。ワインをよく知っている人が、コスパの良さをひそかに楽しんでいるのがKWVなのです。とはいえ、同じ品種のワインでもレンジの違いで合う料理が違ってくることだけは、今企画でそっとお伝えできたかと。お手頃価格のワインだからこそ、合わせたい料理もある。私たちの推奨するペアリング、ぜひトライしてください」
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