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WINE

E.ギガル「三姉妹」に加わった第4のクリュ、「ラ・レナルド2022」

~一本のワインが生まれるまで、12年。物語がここに至るまで、4世代~

文/山田 靖
偉大なワインには、味わいだけでは語りきれない時間がある。
2010年、ギガル家4代目となる双子、シャルルとエティエンヌの誕生を祝して、コート・ロティでひとつの新しい挑戦が始まった。畑を造成し、道や石積みを築き、ブドウを植え、育てる。そして待つこと12年。2022年、ようやく最初のヴィンテージが生まれた。

その名は、「ラ・レナルド(La Reynarde)」

しかし、このワインへの興味の喚起は、12年という歳月だけではない。
「ラ・ムーリーヌ」、「ラ・テュルク」、「ラ・ランドンヌ」——世界のワインラヴァーが“ギガルの三姉妹”と呼んできた伝説的なクリュに、約40年ぶりに新しい一本が加わったこと。そして4つのワインをたどっていくと、そこに初代エティエンヌから4代目へと続く、ギガル家の時間が浮かび上がってくる。

2026年10月、その記念すべきファースト・ヴィンテージ「ラ・レナルド2022」が、いよいよ日本にやってくる。

完成された伝説を味わうのではなく、伝説が生まれる、その最初のページを飲む。

それが、Why not?がいま「ラ・レナルド2022」に注目する理由だ。

三姉妹から「LALA’S®」へ。4つのクリュ、4世代の物語

「ラ・レナルド」の誕生とともに、ギガルは4つのクリュを束ねるシグネチャーを明確にした。

「LALA’S®」。
ラ・ムーリーヌ。
ラ・テュルク。
ラ・ランドンヌ。
そして、ラ・レナルド。

いずれも名前が「LA」で始まる。この呼称は、象徴的なキュヴェ名の発音に苦労していた輸出市場で使われていた呼び方に由来するという。
だが、「LALA’S®」が面白いのは、単に4本の銘醸ワインをひとつの名前で括ったからではない。
その4本には、それぞれギガル家の4世代の物語が重なっている。

初代エティエンヌ・ギガルが、14歳でアンピュイに移り住んだ頃から憧れ続け、その夢を実現した「ラ・ムーリーヌ」。

2代目マルセル・ギガルが、1935年に一度途絶えた歴史的な区画を復活させ、1985年にファースト・ヴィンテージを生み出した「ラ・テュルク」。

3代目フィリップの誕生を祝して植えられ、1978年をファースト・ヴィンテージとする「ラ・ランドンヌ」。

そして、4代目となる双子、シャルルとエティエンヌの誕生を祝して2010年に始動した「ラ・レナルド」。

こうして並べてみると、LALA’S®は単なる最高峰キュヴェのコレクションではないことが見えてくる。

一本のワインが、ひとつの世代を語る。

そして4本を並べることで、ギガルというメゾンが歩んできた時間そのものが見えてくるのである。


12年待って生まれた、第4のクリュ

ラ・レナルドの物語が始まった2010年から、最初のヴィンテージとなる2022年まで、12年。

その間に行われたのは、単にブドウを植えて成長を待つことだけではない。

ブドウ樹の造成、アクセス路や石積みの構築、段階的な植樹、さらに醸造・熟成手法の改良——。ひとつのクリュを生み出すために、長い時間をかけた仕事が積み重ねられた。

効率やスピードが価値とされる時代に、12年待つ。
しかも、その始まりにあるのは市場からの要求ではなく、家族に新しい世代が誕生したことだった。

ここに、ラ・レナルドというワインのドラマがある。

ギガルにとってワイン造りとは、一年ごとのヴィンテージだけで完結する仕事ではない。子どもが生まれ、ブドウを植え、人が育つように畑を育て、その先の世代へと渡していく。

人の時間と、ワインの時間が重なっている。

ラ・レナルドは、そのことを象徴する一本なのだ。

コート・ロティの「境界」から生まれたワイン

そして、ラ・レナルドは背景の物語だけで語られるワインでもない。

その名前は、コート・ロティを象徴する二つの地区、コート・ブリュンヌとコート・ブロンドを隔てる自然の境界、レナール川(Ruisseau du Reynard)に由来する。

畑はシラー100%。平均樹齢は約10年、収量は37hl/ha。約4週間のキュヴェゾンを経て、40カ月もの間、新樽で熟成される。

非常に濃いルビーレッド。リコリスを中心に、熟した果実を思わせる凝縮した香り。味わいは力強く、しっかりとした骨格と緻密なタンニンを備えながら、酸は穏やか。長期熟成にも適した一本だという。

そして、このワインを象徴するような表現がある。

「エレガンスと力強さの完璧なバランス」。

コート・ブロンドとコート・ブリュンヌ。その二つを分ける場所に生まれたワインが、まるで両者の個性を受け継ぐように、エレガンスと力強さを併せ持つ。

「境界」に生まれたからこそ、そのどちらかではなく、双方を感じさせる。

ラ・レナルドという第4の個性を考えるうえで、なんとも象徴的ではないだろうか。

2022年を、いま飲むということ

これだけのワインなら、「10年、20年と熟成させてから飲むべきでは?」と思う人もいるだろう。

もちろん、それもひとつの楽しみ方だ。

でもWhy not?は、あえて言いたい。

2026年、ラ・レナルド2022を飲める機会があるなら、飲んでほしい。

なぜなら、これは単なる2022年ヴィンテージではないからだ。

これから何十年と造り続けられ、いつの日かラ・ムーリーヌ、ラ・テュルク、ラ・ランドンヌと同じように語られていくかもしれないワインの、最初のヴィンテージなのである。

ラ・ムーリーヌは1966年。
ラ・ランドンヌは1978年。
ラ・テュルクは1985年。

そして、ラ・レナルドは2022年。

評価が完全に定まった名酒を飲む喜びもある。

けれど、これから伝説になるかもしれないワインの始まりを、自分の舌で確かめ、自分の記憶に残しておく。

そんなワインの楽しみ方があってもいい。

4世代の時間を背負った新しいクリュが、いよいよ日本にやってくる。

歴史は、後から知るより、動いているときに飲むほうが面白い。

「ラ・レナルド2022」。

2026年秋、Why not?が注目する、いま飲んでおきたい一本である。

コート・ロティ ラ・レナルド
CÔTE-RÔTIE LA REYNARDE
生産国/フランス:コート・ロティ
品種/シラー100%

※2026年10月より、「コート・ロティ ラ・レナルド」リリース記念として、2022ヴィンテージ特別4本セットが数量限定で発売開始予定です。
「ラ・ムーリーヌ」「ラ・テュルク」「ラ・ランドンヌ」そして、初ヴィンテージとなる「ラ・レナルド」。
ギガル家4代目の誕生を祝して2010年に始動し、12年をかけて結実した4つ目の単一区画キュヴェを含む4銘柄を、専用木箱に収めた特別セットです。なお、単品での販売につきましては、販売時期未定となっております。

『コート・ロティ LALA‘S® 4本セット』
参考小売価格440,000円(税別)

貴重な動画公開中
田崎真也さん、森覚さんが語る「ラ・レナルド」と「コート・デュ・ローヌ ロゼ」

  • 記事を書いたライター
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山田_yamada 靖_yasushi

Why not?マガジン編集長。長くオールドメディアで編集を担当して得たものをデジタルメディアで形造りたい。座右の銘は「立って半畳、寝て一畳」。猫馬鹿。年一でインドネシア・バリのバカンスはもはやルーティン。

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